『第12回 町工場見本市2026』大学生が町工場見本市の出展企業を直接取材!
葛飾区西新小岩『有限会社海鴻社』
皆さんは「印刷」と聞いて何を思い浮かべますか?普通は紙にプリントするコピー機などを想像しますよね。
今回お邪魔した「有限会社海鴻社」さんは、紙以外のあらゆるもの、例えば金属、プラスチック、ボトルなどの曲面にも印刷を行う「特殊印刷」のスペシャリストです。
「ただ印刷するだけでしょ?」と思っていた私ですが、取材を終える頃にはその奥深い技術の世界に圧倒されていました。
工場でまず目を引いたのは、紫外線(UV)でインクを瞬時に固める「UVインクジェットプリンター」です。
ここで驚いたのが、「色の再現」へのこだわりです。例えば黒いスマホケースに赤いキャラを印刷したい場合、そのまま赤を塗ると黒に負けて沈んでしまいます。そこで、まず「白インク」で下地を作り、その上からカラーを乗せることで、ディスプレイで見ている通りの鮮やかな発色を実現しているそうです。
「インクはセロファンのように透けるもの。だから下地が重要」というお話を聞き、私たちが普段見ている綺麗なグッズの裏には、こうした見えない一手間が隠されているのだと感動しました。
デジタル印刷ならデータ通りに写るのでは?と思いきや、品質管理は非常にシビアでした。
例えば、人の肌のデザインを印刷する際、濃いインクの点が目立つと「ザラザラ感(粒状感)」が出て肌が荒れて見えてしまいます。これを防ぐために、あえて薄い色のインクを使って滑らかさを出すなど、繊細な調整が行われています。
また、ノズルにある300個の穴のうち1つでも詰まれば微細なスジが入り、それは即「エラー」となります。目を凝らさないと分からないレベルのズレも許さない、プロの厳しさを肌で感じました。
海鴻社さんが戦っているのは、印刷業界全体でも数パーセントと言われる「特殊印刷」というニッチな世界。さらにその中でも、他社がやらないような難しい案件に挑戦し続けています。
円筒形のボトルに印刷するために、自社で回転させるための治具(固定器具)を改造して作ったり、「どうすればできるか」を常に考え抜く姿勢が印象的でした。
工場の中には、最新のデジタル機器だけでなく、昔ながらのスクリーン印刷の機械やインクの匂いも漂っており、1970年代から続く技術の歴史を感じました。
画面上では世界最高のデザインが均一に表示される現代ですが、それを「物質」として忠実に再現してくれる海鴻社さんのような存在があってこそ、私たちは推し活やオシャレを楽しめるのだと、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
取材担当:慶應義塾大学 梨本
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※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。
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